結論:請求対象時間と非請求時間は、作業名だけで決めるのではなく、契約・発注条件 → 業務との関係 → 先方との合意 → 実績記録の順に確認します。会議、調査、修正、待機、移動などは、案件によって扱いが変わります。

時間単価や時間精算型の業務委託では、作業時間を記録できても「この1時間は請求してよいのか」で迷うことがあります。カレンダーに入っている時間、実際に働いた時間、請求できる時間は同じとは限りません。

重要なのは、自分だけの基準で後から請求対象を増減しないことです。公正取引委員会のフリーランス法特設サイトでも、対象となる業務委託では給付の内容、報酬額、支払期日などの取引条件を明示する枠組みが示されています。個々の取引への適用は別途確認が必要ですが、少なくとも「何を依頼され、どの条件で報酬が決まるか」を先に確認する考え方は、時間精算でも有効です。

まず3つに分ける

月末に全予定を見て「請求する / しない」の二択を始めると迷いやすくなります。日々の記録では、次の3分類にしておくと扱いやすくなります。

分類意味月末の扱い
請求対象契約・発注条件上、時間精算の対象と確認できている実績時間と重複を確認して請求へ
非請求自分の営業・経理・学習など、案件報酬とは別に管理する請求には入れず、収益性の振り返りに利用
要確認会議、追加調査、待機、移動など条件次第で変わる契約・発注メール・担当者との合意を確認

「要確認」を残せることが大切です。判断できない時間を無理に請求対象か非請求へ寄せると、後で契約条件と食い違ったときに修正が増えます。

作業別の考え方

作業例考え方
制作・実装・執筆依頼された業務そのものなら対象になりやすいが、固定報酬契約なら時間が増えたことだけで追加請求できるとは限らない
定例会議・打ち合わせ業務時間に含む合意があるか確認。会議という名称だけでは決めない
事前調査・検証成果物作成に必要な業務として依頼範囲に含まれるかを確認
修正対応契約内の修正回数・範囲か、追加対応かで扱いが変わる
待機時間拘束や待機自体が契約上の役務に含まれるか確認
移動現地対応の条件、交通費、移動時間の扱いを事前に確認
営業・見積・請求事務通常は自分の事業運営時間として分けることが多いが、顧客案件の業務として別途合意されている場合は条件を確認
学習・環境整備自分の能力開発なのか、特定案件の依頼に必要な作業なのかを分ける
一律ルールにしない:上の表は請求可否を決める法律上の分類ではありません。同じ「会議」「調査」「移動」でも契約や発注内容で扱いは変わります。

判断に迷ったときの5ステップ

  1. 契約・発注書を見る
    時間単価、精算単位、対象業務、上限・下限、会議や付随作業の扱いが書かれていないか確認します。
  2. 実際に依頼された業務との関係を見る
    その時間が成果物・役務の提供に直接必要だったか、自分の都合で行った準備かを分けます。
  3. メール・チャットの追加合意を見る
    契約後に追加作業や延長対応を依頼された場合は、報酬条件も合わせて確認します。
  4. 判断できなければ請求前に確認する
    月末に自己判断で加算するより、「この調査2時間は時間精算対象でよいでしょうか」と先に確認した方が説明しやすくなります。
  5. 次月から記録ルールへ反映する
    毎月同じ迷いが起きるなら、予定名、カレンダー、メモのルールへ反映します。

Googleカレンダーで分けるなら、予定名だけに頼らない

Googleカレンダーを稼働記録に使う場合、予定タイトルを `A社 実装`、`A社 MTG`、`営業 提案` のように揃えると後から見返しやすくなります。取引先ごとにカレンダーを分ける方法もあります。詳しい構造はGoogleカレンダーで工数管理する方法で整理しています。

ただし、「タイトルにA社と書いてあるから請求対象」と機械的に決めるのは避けます。カレンダーは事実記録の材料であり、契約条件そのものではありません。予定名には分類しやすい情報を残し、請求対象かどうかの判断は別に持ちます。

月末に初めて分類しない

請求対象時間の判断が難しくなる最大の原因は、1か月前の作業理由を思い出せないことです。作業終了時または週次で「請求対象 / 非請求 / 要確認」を見直すと、月末の確認量を減らせます。

  • 予定終了後に実績時間へ直す
  • 追加依頼はメモやリンクを残す
  • 判断が必要な時間には短いメモを付ける
  • 週末に「要確認」を処理する
  • 月末は新規判断ではなく最終照合にする

請求対象時間と収益性の分析は分ける

非請求時間は「無駄な時間」とは限りません。営業、見積、経理、学習、環境整備は事業を続けるために必要です。請求書には入れなくても、稼働時間全体の中でどれくらい占めているかを把握すると、案件ごとの実質的な負担を考えやすくなります。

たとえば、A社の請求対象が40時間でも、その案件のための提案・調整・学習に別途10時間かかっているなら、「請求40時間」と「事業上使った50時間」を別の数字として持てます。後者をそのまま追加請求するという意味ではなく、次回の見積や案件選択に使う内部指標です。

Calvoでできること・できないこと

Calvoの現在の実装では、Googleカレンダーから取得したWorkLogを請求書作成画面で選択・選択解除できます。取引先ごとに時間単価や紐づくカレンダーを持たせるコードもあります。そのため、事前に整理した稼働記録を請求明細へつなげる用途には合います。

ただし:Calvoが契約内容を読んで「この会議は請求対象」「この移動は非請求」と判断する機能は確認していません。また、キーワードだけで請求対象時間を自動選別する機能としては説明していません。最終選択は利用者が確認します。

時間単価から請求額を作る具体的な手順は時間単価×稼働時間の請求書の作り方、記録習慣全体はフリーランスの稼働時間を管理する方法で確認できます。

よくある失敗

「仕事に使った時間 = 全部請求」と考える

自分の事業運営時間や学習時間まで混ぜると、契約上の時間精算と一致しません。まず案件固有の役務と自分の運営時間を分けます。

追加作業を記録したが、条件を確認していない

依頼が増えた事実と、追加報酬が発生する条件は別です。追加依頼を受けた時点で範囲・時間・報酬を確認します。

月末に記憶だけで分類する

予定タイトルだけでは、その作業がなぜ必要だったか分からないことがあります。「要確認」メモを残し、週次で処理します。

Googleカレンダーの稼働を選んで請求へつなげる

Calvoは、時間付き予定から作ったWorkLogを確認し、必要なものを選んで時間単価の請求書作成へ進む流れを持っています。請求可否の判断そのものは契約・合意を確認してください。

よくある質問

打ち合わせ時間は請求してよいですか?

一律には決められません。契約・発注条件で会議や顧客対応を時間精算に含むか確認してください。不明なら請求前に先方へ確認します。

移動時間は非請求にすべきですか?

現地対応の条件によります。移動時間・交通費・拘束時間の扱いが合意されているかを確認してください。

固定報酬案件でも時間を記録する意味はありますか?

あります。記録した時間をそのまま追加請求できるとは限りませんが、見積精度、案件別の負担、次回単価の検討材料になります。

参考情報